「舞妓はん」といえば、いつも持ち歩いている竹細工が施された籠(かご)や簪(かんざし)などの髪飾りが思い浮かびますが、これらは着物と並ぶぐらいの必須アイテム。
今回はそんな舞妓はんの必須アイテムを作る竹細工職人、つまみ細工職人の名人ならではの成せる神技をご紹介!
Contents
横山竹材店
竹垣や犬矢来、ペンチも竹で制作
まず最初にご紹介するのは京都市上京区にある「横山竹材店」。
このお店では竹垣や犬矢来などの京都を彩るものから、細かな手仕事が目を見張る竹細工など用途に合わせて竹を自由自在に加工しています。
竹を編んだベンチ「やたらベンチ編み」なども制作しているそうです。
使う竹は地元京都産の竹
寒暖差の大きい京都ではしなやかで上質な竹が育ちます。
切ったばかりの青い竹には中に水分・油分が含まれているためそのまま放っておくと腐ってしまうことも。
そのため切った竹を「材料」として使用するには処理が必要で熟練の技も必要とされます。
まず、青い竹を火で炙り水分と油分を出す「炙り(あぶり)」という京都伝統の方法。
焦げないよう時間をかけて火で炙ると白い竹になり、ツヤがでます。
その後、曲がっている竹を一節ずつさらに炙り、曲がりを矯正していく「矯め(ため)」という技。
これを行うには絶妙な力加減が必要とされるので職人ならではの神技ですね。
備考:公式HP http://www.yokotake.co.jp/
TAKENOKO
若き名人による竹細工の技が光る
続いてご紹介するのは「TAKENOKO」。
TAKENOKOの店長であり、竹細工作家の「田中めぐみ」さんは京都の竹細工文化の将来を背負うエース。
竹を自由自在に操り、竹で編んだバスケットやボトルなど既成概念にとらわれないポップで渋可愛い竹小物や竹雑貨物を作っています。
まず小物などを作る前に「材料作り」から始めます。
竹を手作業で均等に小割にし、厚さ5ミリほどある竹からエナメル質の部分だけを残していきます。
この技を「折ぎ(へぎ)」といいます。
竹のしなりがギリギリに残る0.3ミリまで竹の繊維を刃先で敏感に読みながら割くという作業を繰り返していきます。
簡単そうに見えますが竹の表皮(固い)と内側(柔らかい)は強度が違うため真っすぐに進めるのは至難の業なのです。
さらに高度なのが「口折ぎ(くちへぎ)」という技。
口と手元だけで竹をしならせながら真っすぐに割いていきます。
これには竹の繊維を壊さない絶妙な力加減が必要とされますが、完成した「材料」には人工物では出せない独特なしなりがあるのです。
田中めぐみさんは多くの時間をこの「材料作り」に費やし、ようやく「編み」の作業にとりかかります。
竹細工の編み方にも注目
海外にも竹細工はありますが日本の竹文化は美しさを求め、独自に進化しています。
編み方の数は世界一と言われるほどなのです。
基本的な「鉄線網み」や細い竹を編んでいく「花刺し編み」を編んでいる様子を見せていただくと、間隔を均等に保ちながら素早く竹を編んでいく様子は圧巻でした。
目が慣れてくると間違ったところはすぐに分かるとも話していました。
竹のしなりと編む技術がないとできない名人の技ですね。
備考:公式HP http://takenoko.co/
おはりばこ
簪(かんざし)のつまみ細工作りはピンセットを使用
最後にご紹介するのは「おはりばこ」。
このお店にある髪飾りに使われている布は京都産のものを使用したりと生地にも強いこだわりを持っています。
絹で花びらを作り上げる「つまみ細工」という技術は江戸時代から続く技。
つまみ細工の簪(かんざし)などの髪飾りは結婚式や入学式、成人式などにも利用できると女性に大人気ですね。
つまみ細工に使うのは四方の絹の布地。これをピンセットでつまみながら畳んで花びらの形を作っていきます。
折り方は大きく2種類。「丸つまみ」と「剣つまみ」が代表的な折り方です。
簡単なように見えますが、角がそろっていないと均等で綺麗な花びらにならないのが難しいところ。
花びらを作り終えたら、作った花びらを土台に貼っていき綺麗な花の形に仕上げていきます。
一つの簪(かんざし)でも大きさや折り方の違う100枚以上の花びらが使われることもあります。
つまみ細工を使った指輪も人気
「おはりばこ」では、つまみ細工を使った指輪も人気です。
この指輪を作るには普通の人では折り目が見えないわずか5ミリの四方の布を使用しています。
折り目が見えないため、指先の感覚のみで布を畳んでいきます。
花びらの通常のサイズは1センチほどですが、なんと指輪に使う花びらはわずか2ミリほど。
機械では成しえない技ですね。
ちなみに、こちらの指輪のお値段は3万円~だそうです。
プレゼントなどにもいかがでしょうか?
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