歴史

出雲大社と伊勢神宮の関係 神話から読み解く隠された歴史やエピソード

大学三大駅伝と言えば箱根駅伝、全日本大学駅伝、出雲駅伝の3つです。このうち、全日本大学駅伝と出雲駅伝の共通点は、どちらも大きな神社がある場所で開催されるということです。

全日本大学駅伝はお伊勢さんこと伊勢神宮がある三重県。出雲駅伝は出雲大社がある島根県が舞台です。

実は伊勢神宮と出雲大社は駅伝に限らず、様々な共通項や隠された歴史があります。

今回は、伊勢神宮と出雲大社を巡る神話や歴史についておまとめします。

 

Contents

伊勢神宮の歴史

伊勢神宮は三重県の伊勢市にある神社で、別宮、摂社、末社など全部で125もの社全体を指して伊勢神宮と呼ばれることもある、日本最大級の神社です。

そんな伊勢神宮で祀られているのは日本の総氏神の天照大神(あまてらすおおみかみ)です。

天照大神というと、日本の神話をまとめた古事記や日本書紀に登場する神様の一種で、日本を作ったと言われる、イザナミとイザナギの子供とされています。弟にはスサノオがおり、これらの神様の名前は日本史や歴史に詳しい人なら一度は耳にしたことがあると思います。

ちなみに「神宮」と名のつく神社は、皇室にゆかりのある神様や、歴代天皇を祀っている神社という特徴があり、かつて神宮と名のつく神社は伊勢神宮だけだったという歴史もあります。

平安時代に創建された香取神宮、鹿島神宮や、明治以降にできた平安神宮や橿原神宮も、天皇家とのつながりが強い神社となっています。

 

 

なぜ三重県に伊勢神宮が創建されたのか

しかし、なぜ近くに奈良や京都などのかつて日本の首都となった場所があるのにも関わらず、それらから離れた三重県に日本の総氏神が祀られているのでしょうか。それは、伊勢神宮で祀られている天照大神が大きく関わっているとされています。

天照大神は神話のなかで、高天原(たかまがはら)と呼ばれる神様の国に住んでいるとされています。

天照大神の孫であるニニギノミコトは、日本最初の天皇の神武天皇に三種の神器である剣・玉、そして天照大神の魂が宿っていると鏡を与えました。三種の神器は始めは奈良県のあったとされる宮中に保管されていましたが、保管している時期に飢饉や災害が立て続いて発生。

この災いは天照大神の魂が宿っていると鏡が原因と考えた天皇家は、三種の神器を宮中があった奈良県から、滋賀県、岐阜県へと移して災いが静めようとするもののうまくはいかず、最終的にたどり着いた三重県の伊勢にて鏡から「ここは常世の波が打ち寄せる美しい国」とお告げがあり、ここに建てた祠が伊勢神宮の祖となったとされています。

ちなみに常世とは海の彼方に存在する理想郷のことであり、穏やかに太平洋に囲まれ食料が豊富であった伊勢はまさに理想郷そのもの。ここを天照大神の安住の地となり、今の伊勢神宮が創建されるに至ったという説があります。

なお、京都や奈良と離れたことで、奈良時代・平安時代に広まった仏教との関わりが少なかったことも功を奏して、伊勢神宮は純粋な神道としてその色を強めることができたという分析もすることができます。

 

 

出雲大社の歴史

出雲大社は島根県出雲市にある神社で、大きなしめ縄、高さ24メートルものある日本最大の本殿で有名です。

毎年10月(神無月)になると、日本全国の神様があつまる出雲大社にあつまるとされており、この時だけ出雲では神無月ではなく「神在月」と呼ばれています。ちなみに、神在月から派生して「神在(じんざい)」→「ぜんざい」となり、あんことお餅がおいしいぜんざいが生まれたという言い伝えもあります。

そんな全国の神様が江戸時代の参勤交代のように集まるという出雲大社には「大国主(おおくにぬし)」という神様が祀られています。

大国主も天照大神同様に古事記や日本書紀に登場する神様の一種で、神話の中で国作りを行った神様とされています。

ちなみに「大社」と名のつく神社は、その土地で信仰されていた土着の神様を祀る神社という特徴があります。

こちらもかつては出雲大社のみが大社の名前がつけられることを許されていたという歴史があり、現在では春日大社や諏訪大社などの土着信仰の神様のもとにお参りする方が多くおられます。

 

 

出雲大社は奈良県の大神神社と深い関係がある

出雲大社は島根県から遠く離れた奈良県の桜井市にある大神神社(おおみわじんじゃ)と深い関係があります。

大神神社には本殿がなく、祈りを捧げる対象は三輪山に住む大物主(おおものぬし)であり、山そのものが御神体という珍しい神社です。

三輪山には幸魂奇魂(さきたまくしたま)という大国主と深く関わりのある分身のような神様が住んでいるとされており、後に幸魂奇魂は大物主として三輪山に祀られることになりました。

しかし、大国主の前に天照大神が現れ大国主が作った国を支配しようと計画。最初のうちは大国主が対抗していたものの、次第に天照大神側の力に屈し自分を祀る宮殿(出雲大社)を作ることを条件に国を譲ってしまったというエピソードがあります。

 

 

大和朝廷は出雲族を征服しようとしていた説も

大国主が天照大神に国を譲る前には、奈良県の三輪山の近くには出雲族と呼ばれる人たちが住んでおり、政治の実権を握っていました。

しかし、そんな出雲族に対して天照大神と関わりのある大和朝廷が武力を以て出雲族を支配したのではないかという説があります。

この時出雲族は皆殺しにされなかった代わりに島根県の出雲に住むことを許され、出雲に奈良や京都のような高度な文明社会を作っていたのではないかと考える説もあります。

 

まとめ

日本の神話に登場する神様は、神様らしい神々しさや尊敬されるような行動をとる…というよりも、とても人間味があふれて感情豊かで、ときに怒りから人を傷つけるなどの過ちを起こしてしまうなど、どこか親近感を覚える神様が多くおられますね。

神様といっても神様らしくない…その距離感が日本人特有の神様信仰に繋がっているのだとしみじみ感じます。ネット上やSNSでもナチュラルに神が降臨する場面はまさにその通り。神様は割と近くにいて結構フレンドリーな神様もたくさんおられるのかもしれません。

それはそうと、伊勢と言えば神社の他にも名産品が数多くあり、大阪や京都の小学生が伊勢に修学旅行に行くことも多い場所という特徴もあります。太平洋に面しており、海水浴も楽しめる、伊勢神宮にお参りが出来る、そして近畿圏内からのアクセスも良いということが修学旅行先に選ばれるようです。

なお、流石に中学や高校の修学旅行でも三重県…ということはなく、広島や長崎、沖縄などの戦争に関する歴史を学べる場所やシンガポール、マレーシアなどの東南アジアに修学旅行に行ってるようです。

 

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